ガラス器具など実験器具の正しい洗浄方法

ガラス器具
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研究するにあたって実験が終わるたびにガラス器具などの器具を洗浄しなければなりません。

しかし洗浄を適当にしてしまうとコンタミネーションが発生し、次の実験が失敗してしまうという非常に痛い目を見てしまいます。

こうしたトラブルでせっかくの実験を台無しにしないためにも、正しい洗浄の知識を身に着けておきましょう。

要約

有機化合物等の軽微な汚れの場合
1. アセトンで掛け洗いする
2. 水道水 (要求される清浄度によっては超純水などを使う) で洗い流す
  (汚れが残っている場合は中性洗剤を付けたブラシでこすると良い)
3. アセトンで掛け洗いする
4. 乾燥機もしくは通気性の良い場所に置き乾かす

有機化合物等のこびりつきや着色など頑固な汚れの場合
1. DMSOなどの溶解性の高い有機溶媒や濃塩酸などの強酸、NaOH水溶液などのアルカリで洗浄可否を試す (超音波洗浄も有効)
2. 水道水 (要求される清浄度によっては超純水などを使う) で洗い流す
3. アセトンで掛け洗いする
4. 乾燥機もしくは通気性の良い場所に置き乾かす

炭化物等の頑固な汚れの場合
1. クレンザーを付けたブラシで擦り汚れを取る / 固着が激しい場合はアルカリ洗浄液に1日漬け置きしておく
2. 水道水 (要求される清浄度によっては超純水などを使う) で洗い流す
3. アセトンで掛け洗いする
4. 乾燥機もしくは通気性の良い場所に置き乾かす

汚れの種類洗浄液
有機化合物アセトン
頑固な有機化合物のこびりつき、着色DMSO、濃塩酸、NaOH水溶液
炭化物のこびりつきクレンザー、NaOH水溶液(浸漬)
金属汚れ塩酸
菌汚染オートクレーブ後、水洗

有機化合物の汚れ

実験する上で最も取り扱う場面が多いのが有機化合物です。

洗浄手順は以下の通りです。

1. アセトンで掛け洗いする
2. 水道水 (要求される清浄度によっては超純水などを使う) で洗い流す
  (汚れが残っている場合は中性洗剤を付けたブラシでこすると良い)
3. アセトンで掛け洗いする
4. 乾燥機もしくは通気性の良い場所に置き乾かす

注意点としては、

  • 汚れた状態で長時間放置しておくと汚れが落ちづらくなるので、なるべく実験直後に洗浄する
  • 中性洗剤は意外としつこくガラス器具表面に残るため、洗剤のぬめりがなくなるまで水洗を丁寧に
  • 分析用のメスフラスコ、メスピペット、メスシリンダーなどは秤量線に傷をつけないよう注意する

ブラッシングの際はマルチサイズの揃ったブラシを用意しておくと色々な器具を洗えて便利!

頑固な有機化合物のこびりつき、着色

より頑固な有機化合物の汚れの場合、アセトンの掛け洗いやブラッシングだけでは汚れが落ちない可能性があります💦

汚れの成分に応じて洗浄力の高い溶媒を使用しましょう。
低極性の汚れ・・・DMSO
塩基性の汚れ・・・塩酸
酸性の汚れ・・・NaOH水溶液

1. DMSOなどの溶解性の高い有機溶媒や濃塩酸などの強酸、NaOH水溶液などのアルカリで洗浄可否を試す (超音波洗浄も有効)
2. 水道水 (要求される清浄度によっては超純水などを使う) で洗い流す
3. アセトンで掛け洗いする
4. 乾燥機もしくは通気性の良い場所に置き乾かす

注意点としては、

  • 洗浄力の高い分、取り扱いには注意が必要なので保護具をしっかり着用
  • 超音波洗浄時はガラス器具が割れないようにガラス器具同士が接触しないようにする

清浄度を高く保つ必要のある実験器具は、水道水ではなく市販の高純度精製水で掛け洗いしましょう!

炭化物のこびりつき

活性炭などの炭汚れは一度ガラス器具にこびりつくとブラシでゴシゴシしてもなかなか落ちません💦
その場合はクレンザーで擦り取るorアルカリ洗浄液に1日ほど浸漬しておくと良いでしょう。

1. クレンザーを付けたブラシで擦り汚れを取る / 固着が激しい場合はアルカリ洗浄液に1日漬け置きしておく
2. 水道水 (要求される清浄度によっては超純水などを使う) で洗い流す
3. アセトンで掛け洗いする
4. 乾燥機もしくは通気性の良い場所に置き乾かす

注意点としては、

  • クレンザーは研磨性が高いので、ガラス表面が傷つかないよう注意する
  • アルカリ洗浄液は直接手で触らないようポリ手袋を着用する

その他 (金属、菌汚れ)

金属汚れは塩酸で落としましょう。
ただし、洗浄中は水素や塩素が発生するため局所換気や防毒マスク着用を徹底しましょう。

菌汚れはオートクレーブで滅菌後、エタノールで洗浄し乾燥させます。
オートクレーブは高圧蒸気を使用するタイプが一般的ですが、乾熱滅菌、ガス滅菌など様々なタイプがあります。

まとめ

以上、汚れタイプ別の実験器具の解説でした!

適切な洗浄を心がけて、衛生的な環境で実験を行っていきましょう!

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