ガソリンなどの燃料や化学薬品を貯蔵したり、昨今ではDIYに使われることも多いドラム缶。
実は細かく種類が区分されており、ドラム缶を選ぶ際にはそれぞれの種類ごとの特徴を掴んでおく必要があります。
ドラム缶の種類と用途を解説していきます。
ドラム缶とは
化学製品や石油などの工業製品を保管・輸送するためのスチールやステンレス製の18~400 L容器で、200 Lの容量のものが一般的です。
耐久性・耐火性に優れ、安全な輸送や保管が可能なため世界中で利用されています。
日本ではJIS規格によって大きさが定められており、容量200L未満を中小型缶、200L以上をドラム缶と呼称されます。
また、用途に応じて内面を塗装されていることが多く、樹脂塗装によって内容物によるドラム缶の浸食を防ぎます。
ドラム缶の種類
開封方法の違い
ドラム缶の開封方法の違いで、“オープンドラム”と”クローズドドラム”の2種類が存在します。
オープンドラムは蓋がバンドで締め付けられているため、バンドの開け閉めで蓋の取り外し可能です。
主に粉体を保管するために用いられます。
クローズドドラムは蓋にキャップが付いており、専用の工具でキャップを外すことで内容物を取り出します。
オープンドラムより気密性が高いため、化学製品や石油などの液体製品を保管するために用いられます。
素材の違い
ドラム缶の素材の違いによって、4種類に区分されます。
- 鋼製ドラム
素材に鋼を使用したドラムで、錆や腐食しにくいようにステンレスやチタンを使ったドラムも普及しています。
リユースすることが可能で、食品、香料、医薬品などの保管に利用されています。 - 複合ドラム
鋼製のドラムの内側にポリエチレンなどの合成樹脂で作られたドラムを入れたもので、”ケミカルドラム”とも呼ばれます。
金属に対する腐食性が強い化学製品には鋼製ドラムを使えないため、代わりに複合ドラムが使われます。
酸性の化学製品や農薬の保管に用いられます。 - プラスチックドラム
鋼を使わずプラスチックのみで作られたドラム缶です。
鋼製ドラムに比べて軽量で安価です。
酸・アルカリなどの化学製品や石油製品の保管に用いられます。 - ファイバードラム
紙製のドラム缶で、粉体の化学製品や医薬品の保管に利用されます。
鋼製ドラムに比べて軽量で安価です。
ドラム缶を積み上げることができるため、省スペース化が可能です。
使用後のドラム缶はリサイクル業者を通して再利用されており、事業の循環化が確立されています。
再利用により作られたドラム缶は“再生ドラム缶”と呼ばれ、資源の再利用が積極的に行われています。
用途に応じたドラム缶の選択
用途に応じたオススメのドラム缶を以下の表にまとめました。
ドラム缶を選ぶ際の参考にしてください。
輸送上のドラム缶の規制について
ドラム缶に封入されるような危険物の輸送については、国連の”危険物輸送に関する勧告”を基に法整備がなされています。
したがって、国連 (UN : United Nation) の認証を受けたドラム缶しか輸送が許可されません。
輸送形態によってはドラム缶工業会が発行しているJSDA認証や、危険物保安技術協会が発行しているKHK認証でも代用できるので、輸送に関しては法規制をよく確認しておきましょう。
意外なドラム缶の使われ方
工業用に使われることが多いドラム缶ですが、実は様々な使われ方がなされています。
花火
静岡県の「下田黒船祭り花火大会」では、花火を詰めたドラム缶を海に浮かべ、花火を打ち上げます。
まとめて複数のドラム缶花火を転嫁するため、打ちあがる花火は圧巻の迫力だとか!!
転がしタイムレース
京都府福知山市雲原では、毎年7月の海の日に「ドラム缶転がしタイムレース」を開催しています。
ドラム缶を川の上流に向かって2人で転がすレースで、全長150mを2チームでリレー方式で転がしていきます。
地域の風物詩となっており、毎年大盛り上がりのレースです!
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